賃貸管理ならaies地所へ
2026/9/7

前回は、「賃貸管理会社を変更するタイミング」についてお話ししました。
現在の管理会社に不満があったとしても、実際に変更するとなると、
「入居者に迷惑が掛からないだろうか」
「家賃の支払方法が変わって混乱しないだろうか」
「契約書や保証会社はどうなるのだろうか」
など、色々な不安が出てくると思います。
管理会社の変更は日常的に行うものではありませんので、大家さんにとって分からないことが多いのは当然です。
しかし、事前に次の方針を決め、必要な情報を整理したうえで新旧管理会社の間できちんと引継ぎを行えば、入居者への影響をできるだけ抑えながら変更することは十分可能です。
今回は、管理会社を変更する際の基本的な流れと注意点について考えてみたいと思います。
管理会社を変更しようと考えた場合、まず確認したいのが現在の管理委託契約です。
契約書には、
解約予告期間、解約方法、違約金の有無、管理終了時の取扱い
などが定められている場合があります。
例えば「解約の3カ月前までに通知する」といった規定があれば、今日解約を申し入れて翌月から新しい管理会社へ変更できるとは限りません。
ただし、それ以上に重要だと思うのが、現在の管理会社へ解約を申し入れる前に、その後どうするのかを決めておくことです。
先に解約してしまい、その後で新しい管理会社を探し始めると、管理の空白期間が生じる可能性があります。
その間に設備故障や漏水、入居者からの問い合わせなどが発生することもあります。
そのため、管理会社の変更を考える場合には、現在の管理契約を確認すると同時に、新しい管理会社を選定し、いつから、どのような体制で管理を引き継ぐのかまで考えておくことが大切です。
また、現在の管理会社との間で感情的な行き違いがあり、大家さん自身が直接解約手続きを進めることが難しい場合もあると思います。
そのような場合には、事情を新しい管理会社へ説明し、新管理会社を通じて引継ぎや手続きを進めてもらうという方法もあります。
もちろん、現在の管理契約上の解約手続きそのものは契約内容に従う必要がありますが、新旧管理会社同士で実務的なやり取りを行うことで、大家さんの負担を減らせる場合があります。
管理会社への不満が大きい時ほど、感情的に先に解約するのではなく、次の管理体制を決めてから動くことが重要だと思います。
新しい管理会社が決まったら、
旧管理会社の管理終了日
新管理会社の管理開始日
を明確にします。
この間に空白期間を作らないことが重要です。
管理会社変更の最中だからといって、設備故障や漏水、騒音などのトラブルが待ってくれるわけではありません。
また、切替日が曖昧だと、入居者から問い合わせがあった際に、
「旧管理会社と新管理会社のどちらへ連絡すれば良いのか」
という混乱も起こります。
新しい管理会社には、現在の管理内容だけでなく、なぜ管理会社を変更するのか、現在どのような課題を感じているのかも伝えておいた方が良いと思います。
単に従来の管理をそのまま引き継ぐのではなく、管理変更を機に改善すべきところがあれば見直すためです。
管理会社が変更になれば、入居者へも案内が必要です。
一般的には、
管理会社が変更になること
変更日
新しい管理会社の連絡先
家賃の支払方法
設備故障や緊急時の連絡先
などを案内します。
入居者にとって最も重要なのは、「今後どこへ連絡し、どのように家賃を支払えば良いのか」が分かることです。
ここが曖昧だと、旧管理会社へ問い合わせが入ったり、家賃を以前の口座へ振り込んでしまったりする可能性があります。
反対に、必要な情報を分かりやすく案内できていれば、管理会社が変更になること自体が入居者にとって大きな負担になるとは限りません。
管理会社変更は大家さん側の事情ですので、できるだけ入居者へ余計な手間を掛けない方法を考えることが重要です。
管理変更の際に、特に注意したいのが家賃の支払方法です。
銀行振込であれば、管理会社の変更に伴って振込先が変更になることがあります。
口座振替についても、現在の管理会社独自の仕組みを利用している場合には、新たな手続きが必要になる場合があります。
この部分の準備が不十分だと、入居者に再度口座振替依頼書を書いていただいたり、一時的に銀行振込をお願いしたりすることになります。
当社では、口座振替について株式会社電算システムと直接契約しています。
そのため、管理会社変更に際しても、現在の家賃回収方法や入居者様の状況を確認しながら、できるだけ入居者様へ負担を掛けない方法で切替えられるよう調整しています。
また、変更月の家賃について、
旧管理会社へ支払うのか、新管理会社へ支払うのか
も明確にしておく必要があります。
管理会社側では当たり前だと思っていることでも、入居者にとっては突然の変更です。
だからこそ、事前準備と案内が重要になります。
家賃保証会社を利用している物件では、管理会社変更によって何らかの手続きが必要になる場合があります。
しかし、管理会社を変更したからといって、必ず保証会社まで変更しなければならないわけではありません。
現在の保証契約を継続できるのであれば、管理会社変更の届出などによって、そのまま利用できる場合もあります。
新しい管理会社が現在利用している保証会社を取り扱えない場合には、対応方法を検討する必要があります。
当社では複数の保証会社と代理店契約をしており、管理変更に際して必要性があれば、取扱いのできる保証会社を増やすことも検討します。
管理会社側の都合で、
「当社ではこの保証会社しか使えないので変更してください」
とするのではなく、既存契約をできるだけ活かし、入居者様に余分な手続きや費用が発生しない方法をまず考えるべきだと思います。
火災保険や24時間対応サービスなどについても同じです。
現在問題なく利用できているサービスであれば、管理会社が変わったからという理由だけで全て変更する必要はありません。
何を変更する必要があり、何はそのまま継続できるのか。
一つずつ整理することが重要です。
管理変更では、現在の入居者の賃貸借契約内容を新しい管理会社が把握する必要があります。
例えば、
賃貸借契約内容
保証会社の情報
入金状況
更新履歴
駐車場の契約状況
修繕履歴
入居者からの問い合わせや苦情の履歴
建物固有の注意事項
などがあります。
こうした情報が十分に引き継がれていないと、新しい管理会社が過去の経緯を把握できず、以前と同じトラブルを繰り返したり、入居者へ間違った案内をしてしまったりする可能性があります。
特に長年管理されている物件ほど、契約書だけでは分からない、その物件特有の事情があります。
管理変更では、書類を移動させるだけではなく、それまで蓄積されてきた管理情報を引き継ぐことが重要だと思います。
管理会社によって、契約書や図面の原本、各種鍵などの保管方法は異なります。
当社の場合は、トラブル防止の観点から、図面や賃貸借契約書などの原本、入居者様が使用している住戸の鍵については、原則としてお預かりしない方針としています。
管理上必要な契約内容や図面については、写しやデータで確認できる状態にしますが、大切な原本そのものを管理会社が保管し続ける必要はないと考えています。
鍵についても同様です。
管理会社が入居者様の住戸の予備鍵を保管することには、紛失や不正利用など別のリスクもあります。
そのため当社では原則として入居者様の住戸鍵をお預かりせず、万一、入居者様が全ての鍵を紛失して室内へ入れなくなった場合には、必要に応じて破錠等によって対応する考え方としています。
「管理会社だから何でも預ける」ということではなく、何を管理会社が保管する必要があり、何を大家さん側で管理した方が良いのかを整理することも大切だと思います。
大家さんは管理会社を変更すること自体を大きな出来事として考えます。
しかし、入居者からすれば管理会社の会社名が変わること自体よりも、
問い合わせをした時にきちんと対応してもらえるか
設備が壊れた時に動いてもらえるか
家賃の支払方法が分かりやすいか
何かあった時に連絡が取れるか
といったことの方が重要だと思います。
そのため、適切に引継ぎができていれば、管理会社変更が必ずしも入居者の迷惑になるわけではありません。
むしろ、これまで対応が遅かった、連絡先が分かりづらかった、共用部分の管理が不十分だったといった問題が改善されるのであれば、入居者にとってもプラスになる可能性があります。
管理変更で大切なのは、「会社を変更すること」ではなく、「変更後に管理品質を落とさないこと」です。
当社では、管理を引き継ぐ際には、書類だけを見て従来どおりの管理を始めるのではなく、できるだけ現況を確認することが重要だと考えています。
書類上の情報と現況が一致しているとは限らないからです。
駐車場の使用状況、共用部分、空室、設備、掲示物など、実際に現地を見ることで初めて分かることがあります。
また、長年同じ方法で管理している中で、
「なぜこの運用になっているのか分からない」
というものが残っている場合もあります。
昔から行っているという理由だけで同じ運用を引き継ぐのではなく、その方法が現在も適切なのかを改めて考える必要があります。
管理会社変更は単に会社名を入れ替えるだけではなく、物件の現在の管理状態を一度整理する良い機会でもあります。
管理会社変更について、
「入居者が混乱するから変えない方が良い」
と考える大家さんもいらっしゃると思います。
確かに、準備不足のまま管理会社を変更すれば、入居者へ迷惑を掛ける可能性があります。
しかし、それは管理会社を変更すること自体が問題なのではなく、事前準備や引継ぎが十分にできていないことが問題です。
現在の管理契約を確認する。
解約する前に次の管理会社を決める。
新旧管理会社の切替日を調整する。
入居者へ分かりやすく案内する。
家賃回収方法を整理する。
保証会社や付帯サービスの継続可否を確認する。
契約内容や過去の管理情報を引き継ぐ。
現地の状況を確認する。
こうしたことを一つずつ整理して進めれば、入居者への影響をできるだけ少なくして管理会社を変更することは可能です。
大家さんと旧管理会社との関係が悪化している場合には、新しい管理会社が間に入り、実務上の引継ぎを進める方法もあります。
重要なのは、「まず解約」ではなく、「次の体制を整えてから変更する」ことだと思います。
管理会社変更には、確かに一定の手間が掛かります。
しかし、
「手続きが面倒だから」
という理由だけで、現在の管理に問題がある状態を何年も続けることが本当に良いのかは考える必要があります。
一方で、新しい管理会社側が十分な受入体制を持っているかどうかも重要です。
保証会社、家賃回収、入居者対応などについて、
「現在の仕組みをそのまま継続できるのか」
「変更が必要な場合、入居者にどの程度の負担が掛かるのか」
を事前に確認しておくことをお勧めします。
当社では、保証会社との代理店契約や電算システムによる口座振替など、管理変更に必要となる仕組みを自社で用意し、既存の契約や運用をできるだけ活かしながら、入居者様への負担を抑えて管理を引き継げる体制を整えています。
管理会社を変更する目的は、会社を変えることではありません。
物件をより良い状態で管理し、入居者様に安心して住んでいただきながら、大家さんの賃貸経営を安定させること。
そのために現在の管理方法を見直す必要があるのであれば、管理会社変更も一つの選択肢だと考えています。