賃貸管理ならaies地所へ
2026/9/9

空室が長く続くと、「家賃を下げた方が良いのではないか」と考えるオーナー様も多いと思います。
確かに、周辺相場と比べて賃料が明らかに高い場合には、賃料の見直しが必要になることもあります。
しかし、空室の原因が賃料以外にあるにもかかわらず、最初から家賃を下げてしまうのは、必ずしも良い方法とは限りません。
一度下げた家賃は、その入居者様が退去するまで長期間にわたって収入へ影響します。
そのため、まずは「なぜ決まらないのか」を確認することが重要です。
さらに当社では、募集を開始する前段階で「部屋をどの程度のクオリティに仕上げるのか」「その状態で家賃をいくらに設定するのか」をある程度決めておくことが重要だと考えています。
むしろ、途中で何度も条件変更をするくらいであれば、募集当初から「この賃料であれば成約できる」と確信を持てる水準まで、真剣に賃料査定を行うべきだと思います。
そのくらい賃料設定には神経を注いでほしいと考えています。
そして、これは賃料だけの話ではありません。
敷金・礼金、フリーレント、短期解約違約金、設備条件なども含め、どの条件で成約させるのかには、しっかりこだわってほしいというのが私の信念です。
募集を始めてから反響が弱い度に家賃を下げたり、設備を追加したりしていては、募集方針そのものが曖昧になってしまいます。
最初に募集戦略を決め、その方針を基本的には一貫させながら、必要な修正だけを加えていくことが大切です。
まず確認したいのが、募集情報へのアクセス状況です。
不動産ポータルサイトなどで十分に閲覧されていない場合、家賃以前に「物件を見つけてもらえていない」可能性があります。
例えば、
・掲載している写真が少ない
・写真が暗い、古い
・間取り図が分かりにくい
・設備情報が十分に掲載されていない
・物件の特徴が伝わるコメントになっていない
といった理由で、他の物件に埋もれてしまうことがあります。
また、地域によっては仲介会社が物件情報をほとんどインターネットへ掲載しないケースもあります。
そのような場合、「仲介会社が掲載してくれるだろう」と待っているだけでは、十分な反響が取れないこともあります。
管理会社自身が物件情報を掲載し、自ら反響を獲得するくらいの姿勢も必要だと当社では考えています。
家賃を下げる前に、まず入居希望者の目に触れる状態になっているかを確認することが重要です。
掲載ページへのアクセスや問い合わせはあるものの、内覧につながらないケースもあります。
これは必ずしも家賃だけが原因とは限りません。
例えば、
・入居希望者がまだ情報収集の段階で、それほど前向きではない
・同じエリア、同じ価格帯に競合物件が多い
・複数の物件を比較した結果、別の物件が優先された
といった理由で、問い合わせから内覧まで進まないこともあります。
また、募集条件についても、
・敷金、礼金
・保証会社の費用
・短期解約違約金
・駐車場料金
・インターネット環境
・ペット飼育の可否
・入居時に必要となる初期費用
などが比較対象になります。
月額賃料が相場並みでも、初期費用まで含めると競合物件より高く見えてしまう場合もあります。
単純に「問い合わせはあるのに内覧がないから家賃を下げよう」と判断するのではなく、競合状況や問い合わせの内容まで見ながら判断する必要があります。
内覧までは入るものの申込みにつながらない場合には、室内や共用部分に原因がある可能性があります。
特に、
・室内の清掃状態
・臭い
・照明が付いていない
・水回りの古さ
・共用廊下やエントランスの汚れ
・駐輪場やゴミ置場の状態
などは、実際に現地を見た時の印象を大きく左右します。
大規模なリフォームをしなくても、清掃や照明、簡単な補修だけで印象が変わることもあります。
費用を掛ける前に、まず現地の状態を確認することが大切です。
空室対策として家具や小物を配置する「ホームステージング」を勧められることもあります。
ステージングについては様々な考え方があり、当社でも効果が全く無いと考えているわけではありません。
ただし、費用や手間を掛けた分だけ成約率や賃料が上がるとは限らないため、当社では原則としてステージングは行わず、まずは清掃状態や室内の基本的なクオリティを整えることを優先しています。
賃貸募集では、入居希望者だけではなく、物件を紹介する仲介会社から見た「紹介しやすさ」も重要です。
募集条件が分かりにくかったり、問い合わせへの回答に時間が掛かったりすると、別の物件を優先して紹介される可能性があります。
また、長期間空室になっている物件については、仲介会社へ改めて募集条件や物件の特徴を案内することも必要です。
その際、仲介会社へ「なぜ決まらないと思いますか」とヒアリングすることも一つの方法です。
ただし、仲介会社から必ずしも率直な意見が聞けるとは限りません。
「少し家賃が高いかもしれません」「もう少し条件が良ければ」といった回答があったとしても、それだけを理由にすぐ募集条件を変更するのではなく、その言葉の背景にある真意を推し量る必要があります。
複数の仲介会社の意見、実際の反響件数、競合物件、内覧状況などを総合して判断することが重要です。
そして、周囲から様々な意見を聞いたとしても、募集開始時に根拠を持って決めた方針については、簡単にブレないことも大切だと考えています。
賃貸市場には、動きやすい時期と動きにくい時期があります。
当社の経験では、7月から8月のお盆を過ぎる頃までは、賃貸市場の動きがかなり鈍くなる傾向があります。
この時期に反響が少ないからといって、すぐに家賃を下げることは原則として得策ではないと考えています。
そもそも部屋を探しているお客様自体が少ない時期であれば、家賃を数千円下げても、見てくれるお客様そのものが増えず、ほとんど効果が出ないこともあります。
もちろん、具体的に検討しているお客様がいて、「あと3,000円下がれば申込みたい」といった個別交渉がある場合は別です。
しかし、具体的な交渉もない状態で、閑散期だから反響がないという理由だけで家賃を下げるのは慎重に考えるべきです。
市場が動いていないのか、それとも物件そのものに問題があるのかを切り分ける必要があります。
賃貸募集では、最初の賃料査定が非常に重要です。
以前、私が同じ物件について、ある地域で店長経験のあった元同僚と賃料査定をしたことがあります。
その際、その元店長のいた店のエリアの物件を見ているにもかかわらず、査定額には約1万円の差がありました。
結果としては、私が査定した賃料で募集して成約していきました。
もちろん、一つの事例だけで査定能力の全てを判断できるわけではありません。
ただ、同じ物件であっても、周辺の成約事例、現在の競合物件、建物の状態、設備、間取り、募集時期などをどこまで細かく確認するかによって、査定額には大きな差が出ます。
私は、この差は「どこまで真剣に賃料査定をしたか」という部分も大きいと考えています。
賃料査定は、周辺物件を数件見て平均値を出せば終わりというものではありません。
1,000円、2,000円の違いでも、反響や成約スピードが変わることがあります。
反対に、必要以上に低い賃料を付ければ、早く決まったとしても、本来得られたはずの収益を長期間失うことになります。
だからこそ、「とりあえず少し高めに出して、決まらなければ下げれば良い」という考え方ではなく、募集当初から一発で成約できる賃料を可能な限り見極めることが重要だと考えています。
途中で条件変更を繰り返す前提ではなく、最初の値付けそのものに責任を持つ。
さらに、賃料だけでなく、どの条件まで譲り、どの条件は守るのかまで含めて成約条件を設計する。
成約条件にはこだわってほしい。これは私自身の信念です。
そのくらい賃料設定と募集条件には神経を注ぐべき仕事だと思います。
もちろん、どれだけ慎重に査定をしても、市場環境が変わったり、想定以上に競合物件が増えたりすることはあります。
募集方法、募集時期、条件、室内状態、競合物件、仲介会社への周知などを確認した上で、それでも反響が少ない場合には、賃料そのものを見直す必要があります。
この時も、単純に「5,000円下げる」と考えるのではなく、現在募集されている周辺の競合物件と比較して判断します。
例えば月額5,000円の値下げでも、年間では6万円、5年間では30万円の収入差になります。
一方で、家賃を維持した結果、数か月空室が続けば、その損失の方が大きくなる場合もあります。
そのため、家賃を絶対に下げないことが正解というわけでもありません。
重要なのは、
「どの程度の室内クオリティにするのか」
「その状態なら、いくらの家賃を設定するのか」
「どの条件で成約させるのか」
「どの程度の期間、その条件で募集するのか」
を募集開始時に考えておくことです。
そして、実際の市場の反応を確認しながらも、根拠なく条件を頻繁に変更しないことが重要です。
空室が続くと、どうしても家賃という数字に目が行きがちです。
しかし実際には、
「そもそも物件を見られていない」
「見られているが問い合わせがない」
「問い合わせはあるが内覧されない」
「内覧されているが申込みにならない」
「そもそも市場自体が動いていない」
では、それぞれ対策が異なります。
反響状況、競合物件、募集条件、室内の状態、市場の時期などを確認し、どの段階で入居希望者が離れているのかを把握することが、空室対策の第一歩です。
家賃を下げることは有効な空室対策の一つです。
しかし、その前に「最初の賃料設定は本当に適切だったのか」「成約条件は本当に適切だったのか」を考える必要があります。
途中で何度も値下げや条件変更をするよりも、募集開始時に物件のクオリティと市場を見極め、成約できる賃料と条件を可能な限り正確に設定する。
そして、その方針を一貫させながら、市場の反応を冷静に確認する。
成約条件にはこだわる。
当社では、それが収益を守りながら空室を埋めるための基本だと考えています。