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2026/9/11

「建物が古いから、なかなか入居者が決まらない」
築年数が経過したアパートやマンションを所有するオーナー様から、このような相談を受けることがあります。
確かに、新築や築浅物件と比較すれば、築古物件には設備や外観などで不利な部分があります。
しかし、築年数が古いからといって、必ずしも空室が増えるとは限りません。
むしろ近年は、建築資材や工事費などの上昇もあり、新築物件の家賃設定も以前より高くなる傾向があります。
そのため、「新築や築浅までは求めないので、もう少し手頃な家賃で住みたい」という需要に対して、築古物件は十分な競争力を持つことができます。
当社では、築古物件であっても、物件の状態、募集条件、管理方法などを一つずつ見直すことで、十分に満室を目指せると考えています。
大切なのは、新築物件と同じ土俵で競争することではありません。
その物件をどのような商品として市場に出し、どのようなお客様に選んでもらうのかを考えることです。
入居希望者が部屋を探す際には、築年数だけを見ているわけではありません。
例えば、
・家賃
・立地
・駅や勤務先までの距離
・間取り
・部屋の広さ
・駐車場の有無
・設備
・初期費用
・室内の清潔感
など、様々な条件を比較しています。
築30年、40年であっても、希望するエリアで予算に合い、室内がきれいであれば十分に検討対象になります。
実際、エレベーターがなく、シャワー室のみという5階の部屋であっても、室内がきれいに整えられ、賃料が手頃であれば十分に成約することがあります。
物件を管理していると、設備条件だけを見れば「これは決まりにくいのではないか」と感じる部屋でも、価格とのバランスが取れていればお客様から選ばれることがあります。
反対に、築浅であっても賃料が高過ぎたり、間取りが使いにくかったりすれば、簡単に決まるとは限りません。
「築古だから決まらない」と決めつけるのではなく、その物件の条件と賃料のバランスを見ることが重要です。
築古物件には、新築や築浅にはない強みを持っていることがあります。
特に、昔から建っている物件ほど、比較的立地の良い場所に建っているケースがあります。
駅や商業施設に近かったり、生活利便性の高い場所であったりすることも少なくありません。
また、昔の物件は、現在の新築物件と比較すると、同じ家賃帯でも専有面積が広い場合があります。
例えば、
・立地が良い
・同じ家賃帯の築浅物件より広い
・収納が多い
・居室そのものが広い
・日当たりが良い
などです。
「築年数が古い」という一つの弱点だけを見るのではなく、それと引き換えにどのようなメリットを提供できるのかを考える必要があります。
築古物件ほど立地が良く、広いことも多いため、こうした部分は募集上の大きな武器になります。
築古物件では、駐車場について注意が必要です。
建築当時は現在ほど自動車保有を前提とした賃貸住宅づくりがされていなかった物件も多く、戸数に対して十分な駐車場が確保されていないケースがあります。
特に郊外や自動車利用が多い地域では、
・敷地内駐車場の台数が少ない
・1世帯1台分を確保できない
・2台目駐車場が用意できない
・近隣月極駐車場も少ない
といった条件が、募集上の大きな弱点になることがあります。
そのため、「築古物件は立地が良い」「部屋が広い」といった強みがあっても、駐車場の条件次第では対象となる入居者層が限られることがあります。
この場合、単純に家賃を下げるのではなく、
「車を必要としない入居者層を狙える立地なのか」
「近隣で月極駐車場を確保できないか」
「敷地内の利用方法を見直して駐車台数を増やせないか」
なども検討する必要があります。
築古物件では、このように建築当時と現在の生活スタイルの違いが、募集条件に影響していることもあります。
築古物件だからといって、必ずしも高額なリノベーションが必要とは限りません。
当社がまず重視するのは、入居希望者から見て「普通に住みたいと思える状態」になっているかどうかです。
例えば、
・クロスが著しく汚れていないか
・床に大きな傷や劣化がないか
・水回りが清潔になっているか
・臭いが残っていないか
・建具が正常に動くか
・照明やスイッチ類に不具合がないか
といった基本的な部分です。
古さそのものは変えられませんが、「古いけれど、きちんと手入れされている」という印象をつくることはできます。
築古物件では、この差が非常に重要だと考えています。
空室が続くと、
「キッチンを交換しましょう」
「浴室を新しくしましょう」
「全面リフォームしましょう」
といった提案を受けることもあります。
もちろん、設備の状態によっては交換が必要なケースもあります。
しかし、掛けた費用を家賃で回収できるのかは必ず考えるべきです。
例えば100万円の工事を行った結果、家賃を月額3,000円しか上げられなければ、単純計算でも回収には長い年月が掛かります。
また、設備が多少古くても、その分家賃が手頃であれば、それを選ぶお客様はいます。
先ほど挙げたように、エレベーターがない、浴槽がなくシャワー室のみといった条件でも、それを織り込んだ賃料設定と室内の清潔感があれば成約は可能です。
全ての弱点をお金を掛けてなくす必要はありません。
築古物件の空室対策では、「きれいにすること」と「お金を掛けること」を混同しないことが重要です。
使える設備は使い、必要なところには費用を掛ける。
投資額と家賃上昇、成約率、回収期間のバランスを考える必要があります。
室内をきれいにしていても、共用部分の状態が悪ければ、内覧時の印象を大きく落としてしまいます。
例えば、
・エントランスにゴミがある
・共用廊下が汚れている
・雑草が伸びている
・駐輪場が乱れている
・集合ポストが壊れている
・照明が切れている
といった状態です。
入居希望者は、部屋だけではなく「この建物に住んでも大丈夫か」という目でも物件を見ています。
特に築古物件の場合、建物そのものの古さを消すことはできません。
だからこそ、清掃や整理整頓、日常管理によって「管理されている建物」という印象を与えることが重要です。
大掛かりな改修をする前に、まず現在の管理状態を確認してみるべきです。
築古物件では、賃料設定が特に重要です。
高過ぎれば、築浅物件と比較された時に選ばれにくくなります。
一方で、「古いから」と必要以上に安く貸してしまえば、収益を自ら落とすことになります。
特に現在は、新築物件自体の家賃が高くなっているため、築古物件だからといって極端に安くする必要はありません。
新築・築浅との価格差が適切であれば、「この広さ、この立地で、この家賃なら築年数は気にしない」というお客様は十分にいます。
周辺の募集物件を見るだけではなく、
・同程度の築年数
・同じような間取り
・同程度の設備
・駅距離
・駐車場条件
・現在の競合状況
などを比較しながら、現実的に成約可能な賃料を見極めることが重要です。
「とりあえず高めに出して、決まらなければ下げる」という募集方法は、当社ではあまりお勧めしていません。
途中で何度も条件変更をするくらいであれば、募集当初から「この条件なら成約できる」と確信を持てるところまで賃料査定に神経を注ぐべきだと考えています。
築古だからこそ、適正な値付けが重要になります。
築古物件の強みがあっても、それがお客様に伝わらなければ意味がありません。
例えば、
「築年数は経過しているが駅から近い」
「同じ予算の築浅物件より10㎡以上広い」
「室内はきれいにリフォームされている」
といった特徴です。
写真、間取り図、募集コメントなどで、その物件を選ぶ理由をきちんと伝える必要があります。
単に「築○年・2DK・家賃○万円」と掲載するだけでは、物件の価値を十分に伝えられません。
「この物件は誰にとって魅力的なのか」を考えて募集することが大切です。
築古物件では、管理会社や貸主側から積極的に募集状況を確認することも重要です。
地域によっては、仲介会社が物件を積極的にインターネット掲載しない場合もあります。
そのような地域で、仲介会社が掲載してくれるのを待っているだけでは、十分な反響を得られないことがあります。
必要であれば管理会社自身でも掲載し、反響を取るくらいの姿勢が必要です。
また、
「問い合わせがあるのか」
「内覧まで進んでいるのか」
「内覧後に断られているのか」
によって対策は変わります。
単純に「築古だから」という理由だけで家賃を下げるのではなく、どの段階でお客様が離れているのかを確認する必要があります。
築古物件では、全ての入居希望者に好かれようとする必要はありません。
例えば、
「多少築年数が古くても、広さを重視する方」
「家賃を抑えたい方」
「立地を優先する方」
「車を必要としない方」
「勤務地へのアクセスを優先する方」
など、その物件と相性の良い入居者層があります。
特に駐車場が不足する物件では、「車を所有しているファミリー層」を当然のターゲットと考えるのではなく、その立地に合った入居者像を考える必要があります。
逆に、最新設備や新築同様の内装を求めるお客様を無理に取り込もうとすれば、必要以上に設備投資をすることになりかねません。
設備に多少の不便があっても、その代わりに立地が良い、広い、家賃が手頃といったメリットがあれば、それを評価するお客様はいます。
物件に合った入居者層を考え、その方々に選ばれる室内と募集条件をつくることが重要です。
当社でも、築年数が経過し空室が目立っていた物件について、大規模なリノベーションだけに頼らず、管理状態や募集方法、賃料設定などを見直すことで、稼働状況を改善してきた経験があります。
ポイントは、「古い」という事実そのものを問題にするのではなく、
「何が原因で決まっていないのか」
「何を直せば良いのか」
「何は直さなくても良いのか」
「この物件をどの条件なら選んでもらえるのか」
を一つずつ見極めることです。
築古だからといって、必要以上に家賃を下げたり、大掛かりな工事を行ったりすることが正解とは限りません。
築古物件を新築に戻すことはできません。
しかし、築年数以外の部分は改善できます。
室内の状態を整える。
共用部分を管理する。
適正な賃料を設定する。
物件の強みと弱みを把握する。
適切な入居者層へ情報を届ける。
そして築古物件には、立地や広さ、手頃な賃料といった、新築物件にはない競争力があります。
一方で、駐車場不足のように、建築された時代と現在の生活スタイルとの違いから生じる弱点もあります。
重要なのは、そうした弱点を全て工事や値下げで解消しようとするのではなく、物件の強みと弱みを正確に把握した上で、誰に、どの条件で貸すのかを考えることです。
特に新築物件の家賃が上昇している中では、「設備は多少古くても、立地が良く、広く、家賃が手頃」という物件の価値は決して小さくありません。
古いから家賃を下げる。
古いから大規模なリフォームをする。
その前に、現在の物件に何が足りていて、何が既に強みになっているのかを整理してみることをお勧めします。
当社では、築年数だけで物件の可能性を判断するのではなく、物件ごとの強みと弱みを見極め、費用対効果と成約条件の両方を考えながら募集することが重要だと考えています。