賃貸管理ならaies地所へ

近年、建築資材、人件費、運送費などの上昇によって、賃貸物件の修繕費も以前より高くなってきています。
以前であれば数万円で済んでいた修理が、現在ではそれ以上掛かる。
設備交換や外壁、防水などの工事では、数年前の感覚で予算を考えていると、見積金額を見て驚くこともあります。
しかし、物件を長期間所有する以上、修繕そのものをなくすことはできません。
だからこそ今後の賃貸経営では、
「修繕費を掛けないこと」ではなく、「必要な修繕費をどうコントロールするか」
がますます重要になると当社では考えています。
そして、その役割を担うのが管理会社です。
今回は、修繕費が高騰する時代に、管理会社にはどのようなコスト意識が求められるのかを考えてみたいと思います。
設備故障や建物修繕が発生すると、専門業者から見積書が提出されます。
この時、管理会社が、
「業者から30万円の見積りが出ました。承認をお願いします」
と、そのままオーナー様へ送るだけであれば、管理会社が存在する意味は薄くなってしまいます。
本来は、
・本当にこの工事が必要なのか
・今すぐ実施する必要があるのか
・修理では対応できないのか
・工事範囲は適切なのか
・数量は正しいのか
・金額は妥当なのか
・別の工法はないのか
といった点を管理会社側でも確認するべきだと考えています。
当社でも、工事や各種点検の見積りについては、金額だけではなく実施内容とのバランスを確認しています。
疑問があれば業者へ確認し、必要に応じて相見積りを取ったり、依頼する業者自体を変更したりすることもあります。
オーナー様へ見積りをお出しする前に、管理会社が一度フィルターになる。
修繕費が高騰している時代だからこそ、この役割はより重要になっていると思います。
見積りを比較する際には、単価だけを見るのも危険です。
当社でも以前、クッションフロア工事で経験したことがあります。
㎡あたりの単価だけを見ると、他社より安い業者がありました。
しかし、見積書をよく確認すると、施工面積が専有面積とほぼ同じ数字で計上されていました。
当然、専有面積の全てがクッションフロアであるとは限りません。
つまり、
単価が安くても、数量が過大であれば最終金額は安くならない
ということです。
修繕見積りでは、
「1㎡いくらか」
「1台いくらか」
だけではなく、
その単価を何㎡、何台、何人工に掛けているのか
まで見る必要があります。
工事費を適正化するには、見積書全体を見る力が必要です。
工事開始後に、
「ここも悪かったので追加です」
「想定より傷んでいたため追加費用が必要です」
ということがあります。
もちろん、解体して初めて分かる不具合もありますので、全てを事前に把握することはできません。
しかし、当社でも過去に、工事開始後に追加費用が発生し、
「そもそも当初の現地調査や見積りが少し甘かったのではないか」
と感じた経験があります。
最初の見積金額が安く見えても、その後追加が重なれば、結果として高額になります。
そのため、
・追加工事が発生する可能性
・どのような場合に追加になるのか
・当初見積りでどこまで含んでいるのか
も確認する必要があります。
見積金額の安さだけではなく、見積りの精度も重要です。
設備故障では、
「部品供給がないので交換しかありません」
と提案されることがあります。
もちろん、本当に部品がなく、交換するしかない場合もあります。
一方で、当社では以前、高額な設備交換を提案されたため別の業者へ相談したところ、交換部品を確保でき、修理で対応できた経験があります。
結果として、交換する場合と比較して修繕費を大幅に抑えることができました。
このような経験から、
「部品がない」
「修理できない」
「交換しかない」
という説明について、費用が大きい場合には、一度別の可能性がないか確認する価値があると考えています。
ただし、何でも古い設備を延命すれば良いという話ではありません。
例えば専有部分のエアコンが10年以上経過し、不具合が発生した場合には、修理後に再度故障する可能性や、入居者様へ繰り返しご迷惑を掛けるリスクも考え、交換を提案することがあります。
重要なのは、
「修理できるか」でも「交換できるか」でもなく、どちらが経営上合理的なのか
を判断することです。
修繕費が高くなればなるほど、
「とにかく延命したい」
という考えになりやすいと思います。
実際、当社でも設備不具合に対して、部品交換や調整によって延命することがあります。
ただし、延命にも限界があります。
例えば、
修理費5万円
交換費15万円
という場合、一見すれば修理の方が得に見えます。
しかし、修理後すぐに別の故障が発生し、再度5万円掛かり、その後結局15万円で交換すれば、合計25万円になります。
さらに業者手配や入居者対応も複数回必要です。
修繕費の適正化とは、単に最初の支出を安くすることではありません。
設備の年数、故障内容、再発リスク、修理費、交換費を見ながら、トータルで合理的な方法を選ぶことが重要です。
管理会社によっては、
「自社に工事部門があるので安く施工できます」
ということを強みにしている会社もあります。
確かに、中間マージンを削減できるというメリットはあります。
一方、自社工事部門を持てば、人件費、車両費、設備費などの固定費も掛かります。
その部門を維持するためには、一定の工事件数や売上も必要になります。
そのため、
自社施工=必ず安い
とは限りません。
重要なのは、自社施工か外注かではなく、
必要な工事を、必要な内容で、適正な価格で実施できているか
です。
当社では自社施工そのものにこだわらず、工事内容や価格、対応力などを見ながら、適切な専門業者へ依頼することを基本としています。
修繕費が高騰していると、どうしても最安値の業者を選びたくなります。
しかし、工事費は安ければ良いというものでもありません。
当社でも、価格を抑えて工事をお願いしたものの、後から手直しが必要になり、その際のアフター対応が十分ではなかった経験があります。
「対応します」と言うものの、なかなか動いてもらえない。
連絡しても対応が進まない。
そうした結果として、当社からオーナー様へのご説明や対応が必要となり、オーナー様にご心配やご迷惑をお掛けしてしまったこともありました。
管理会社としては、工事を発注した時点で終わりではありません。
最終的にオーナー様や入居者様へ適切な状態で引き渡されるところまで確認する必要があります。
当社でも、最初から現在のような業者選定ができていたわけではありません。
実際に様々な業者へ仕事をお願いする中で、良かった経験もあれば、反省すべき経験もありました。
単価は安いものの数量に疑問があった。
当初見積りは安かったが、後から追加費用が発生した。
交換しかないと言われた設備が、別の業者では修理できた。
工事費は安かったものの、施工後のアフター対応が十分ではなかった。
そうした経験を重ねる中で、時には業者選定や工事対応によってオーナー様へご迷惑をお掛けしたこともあります。
だからこそ現在は、見積金額だけで業者を判断しないようにしています。
施工品質。
説明の分かりやすさ。
レスポンス。
工事後の対応。
そして担当者の人柄や誠実さ。
当社では様々な経験を重ねる中で、価格的にも、工事内容的にも、人柄や対応面でも納得できる業者さんへ仕事をお願いすることを大切にしています。
管理会社が選んだ業者の仕事も含めて、最終的には管理会社の仕事として評価されるものだと考えているからです。
安いだけではなく、適正価格であること。
必要な工事だけを提案してくれること。
分からないことをきちんと説明してくれること。
施工後に問題があった時にも責任を持って対応してくれること。
こうした業者さんと継続的に付き合っていくことが、結果としてオーナー様のリスクや修繕コストを抑えることにもつながると考えています。
「修繕費を抑えるなら、必ず相見積りを取るべき」
という考え方もあります。
相見積りは有効です。
当社でも、金額が大きい場合や、提示内容に疑問がある場合には相見積りを取ります。
実際、「部品がないので交換」と言われた設備について、別の業者へ相談したことで部品が見つかり、大幅に費用を抑えられたこともあります。
しかし、全ての修繕で相見積りを取れば良いわけでもありません。
例えば漏水が発生しているのに、複数社の現地調査と見積りを待っていれば、その間に被害が広がる可能性があります。
また、少額の修繕について毎回複数社へ現地調査を依頼すれば、対応スピードが落ちるだけでなく、調査費用が掛かることもあります。
重要なのは、
相見積りを何社取ったかではなく、その金額と工事内容の妥当性を確認できているか
です。
普段から複数の業者と付き合い、工事価格や施工内容を把握していることも管理会社には必要だと思います。
修繕費というと、設備故障や原状回復ばかりに目が行きます。
しかし、
・エレベーター保守点検
・消防設備点検
・貯水槽清掃、点検
などの継続的な費用も、長期的には大きな支出になります。
「昔からこの会社にお願いしているから」
という理由だけで契約が続いているケースもあります。
もちろん、長年の付き合いによる安心感や対応力には価値があります。
しかし、同じような業務内容でも契約内容や会社によって費用にかなり差が出るケースがあります。
月々で見ると小さな差に感じても、それが5年、10年と続けば大きな金額になります。
例えば年間10万円違えば、10年間では100万円です。
修繕費が高騰している時代だからこそ、一回の工事だけではなく、
毎年継続して発生する費用も定期的に見直す
ことが重要です。
例えばプロパンガスを採用している物件では、ガス会社によって給湯器やエアコンなどの設備保証や修理対応を組み込んだプランを設定していることがあります。
こうした仕組みを上手く活用できれば、オーナー様の修繕負担を抑えられる場合があります。
ただし、
「設備を付けてもらえるから得」
と単純に判断するのではなく、
・契約期間
・途中解約条件
・保証対象
・入居者様のガス料金への影響
などまで確認する必要があります。
コスト削減とは、自分で全ての費用を削ることではありません。
合理的に利用できる仕組みがあれば、その条件を確認した上で活用すること
も一つの方法です。
ここまで修繕費を抑える話をしてきましたが、
修繕費を最低限にすることが賃貸経営の目的ではありません。
例えば20万円の工事を行うことで、月額5,000円高い賃料で成約できたとします。
年間6万円の増収になります。
単純計算では約3年4か月で20万円を吸収できます。
反対に20万円を惜しみ、家賃を5,000円下げて成約した場合、5年間で30万円の賃料差になります。
工事費は基本的には単発の支出です。
一方、賃料は入居期間中続く収入です。
だからこそ、
目の前の修繕費を減らすことだけでなく、その支出が将来の収益にどうつながるのか
を見ることが重要です。
管理会社のコスト意識とは、何でも安くすることではありません。
必要なところには適切に費用を掛け、その代わり不要なところでは費用を掛けない。
この判断力が重要だと思います。
設備や内装についても、コスト意識は必要です。
例えば空室対策として、アクセントクロスを勧められることがあります。
もちろん、物件によっては効果があります。
しかし、
「アクセントクロスを使えば部屋がおしゃれになる」
「他の物件との差別化になる」
という理由だけで採用すれば良いわけではありません。
アクセントクロスについては、
「家具やカーテンと合わせづらい」
という意見もあります。
管理会社やオーナー様の好みと、実際に入居される方の好みが一致するとも限りません。
色や柄の主張が強ければ、逆にお客様を選ぶ部屋になることもあります。
設備投資や内装変更でも、
流行しているかどうかではなく、その物件のターゲットや成約条件に本当にプラスになるのか
を見るべきです。
これもコスト意識の一つだと思います。
賃貸物件を長く所有すれば、いつか高額な修繕が必要になります。
外壁。
防水。
給排水設備。
エレベーター。
給水ポンプ。
こうした設備では、数十万円から数百万円単位の支出が発生することがあります。
その時に、
「高いからできない」
という状態では、必要な修繕を先送りすることになります。
だからこそ当社では、修繕費を適正化するだけでなく、必要な修繕が発生した時にオーナー様にご快諾いただける収益状態をつくることも管理会社の仕事だと考えています。
空室を減らす。
適正な賃料で成約する。
不要な支出を減らす。
固定費を見直す。
工事費を適正化する。
こうした日々の積み重ねによって物件の収益性を上げておけば、高額な修繕が必要になった時にも前向きに判断しやすくなります。
修繕費を抑えることと、修繕費を払える経営をつくること。
この両方が必要です。
修繕について考える際には、管理会社がどこから収益を得ているのかも見ておく必要があります。
管理会社に工事部門があれば、工事そのものが会社の売上になります。
もちろん、工事部門を持つこと自体が悪いわけではありません。
必要な工事を適正価格で実施しているのであれば問題ありません。
しかし、
「工事が増えるほど管理会社の利益が増える」
という構造であれば、オーナー様の利益と常に完全に一致するとは限りません。
当社が考える理想は、
オーナー様の利益が増えれば、管理会社の利益も安定する
という関係です。
修繕費を必要以上に使わせるのではなく、物件収益を改善し、その結果として長く管理を任せていただく。
その方が、オーナー様と管理会社の双方にとって健全な関係だと考えています。
修繕費が高騰すると、
「もっと安い業者はないのか」
「修理で済ませられないのか」
「工事を先送りできないのか」
と考えたくなるのは当然です。
そして、管理会社にもコスト意識は必要です。
しかし、
最安値の業者へ依頼する。
とにかく延命する。
修繕をできるだけ先送りする。
これだけでは、本当のコスト削減にはなりません。
管理会社に求められるのは、
必要性を判断する。
工事内容を確認する。
数量を確認する。
価格を確認する。
修理と交換を比較する。
追加工事の可能性を考える。
必要なら相見積りを取る。
信頼できる業者を選ぶ。
施工後の対応まで確認する。
そして、その支出が長期的な収益にどう影響するのかまで考える。
という一連の判断です。
当社も、これまで全ての工事や業者選定が最初から完璧だったわけではありません。
様々な経験の中で、オーナー様へご迷惑をお掛けしたこともあり、その経験から学んできました。
だからこそ現在は、
単純に「安い工事」を探すのではなく、必要な工事を、適切