賃貸管理ならaies地所へ

賃貸管理をしていると、どれだけ丁寧に管理していてもトラブルが起きることがあります。
例えば、
騒音。
無断駐車。
ゴミ出し。
共用部への私物放置。
水漏れ。
設備故障。
近隣とのトラブル。
入居者同士の行き違い。
こうした問題です。
もちろん、トラブルが起きないように予防することは重要です。
しかし現実には、
全てのトラブルを未然に防ぐことも、全ての問題を完全に解決することもできません。
一棟に10戸あれば10通り、30戸あれば30通りの考え方や生活があります。
一人の希望を100%叶えれば、別の入居者様に不利益が生じることもあります。
そのため当社では、
トラブル対応で最も重要なのは、全てを完全に解決しようとすることではなく、貸主・入居者・他の入居者・建物全体のバランスをどう取るか
だと考えています。
管理会社の本当の差が出るのも、こうした問題が起きた時だと思います。
何が起きているのか。
どこまで事実なのか。
緊急性はあるのか。
入居者様は本当は何を求めているのか。
どこを着地点にするのか。
オーナー様へ報告するべきなのか。
管理会社の裁量で処理するべきなのか。
再発防止は必要なのか。
こうしたことを考えながら対応する必要があります。
今回は、入居者トラブルが起きた時に、良い管理会社はどのような考え方で対応するべきなのかを考えてみたいと思います。
入居者様からトラブルの連絡があった場合、まず必要なのは状況を正確に把握することです。
例えば、
「隣がうるさい」
という連絡だけでは、まだ状況は分かりません。
何時頃なのか。
毎日なのか。
一度だけなのか。
話し声なのか。
テレビなのか。
足音なのか。
どのくらい続いているのか。
こうした情報によって対応は変わります。
駐車場トラブルでも同じです。
「知らない車が停まっている」
だけではなく、
どの区画なのか。
何時からなのか。
車種やナンバーは分かるのか。
一時的な来客なのか。
繰り返しているのか。
を確認します。
トラブル対応では、
最初の聞き取りが曖昧だと、その後の対応も曖昧になります。
クレームを受けると、言われた内容そのものだけを解決しようとしがちです。
しかし、実際には別のところに不満の本質があることがあります。
例えば、
「上の階がうるさいから何とかしてほしい」
と言われていても、本当の不満は、
以前から何度も連絡しているのに何もしてくれない。
自分の話を管理会社が聞いてくれない。
何の経過報告もない。
ということかもしれません。
つまり、
表面的な要求と、クレームの本当の原因が同じとは限りません。
何を求めているのか。
謝罪なのか。
相手への注意なのか。
管理会社に状況を理解してほしいのか。
今後の対応方針を聞きたいのか。
そこを見極める必要があります。
トラブル対応では、
何を言われたかだけでなく、「どこを着地点にすれば納得していただけるのか」を考えること
が非常に重要だと思います。
入居者トラブルでは、最初に連絡してきた方の話だけを聞くと、
「相手が悪い」
と思ってしまうことがあります。
しかし、実際に確認してみると、
双方に言い分がある。
認識違いだった。
原因が別の部屋だった。
建物設備の音だった。
ということもあります。
特に騒音問題では、音は建物内を伝わります。
真上だと思っていた音が、斜め上や別の部屋からだったということもあります。
そのため管理会社は、
最初から犯人探しをするのではなく、まず事実確認をする
ことが重要です。
苦情を受けると、
「分かりました。すぐ相手に注意します」
と言えば、対応が早いように見えます。
しかし、その段階で事実関係が分かっていない場合には注意が必要です。
例えば、
騒音元が間違っていた。
無断駐車だと思った車が許可された来客車だった。
ゴミ出しルール違反だと思ったものが別物件のゴミだった。
という可能性もあります。
確認せずに相手を注意すると、
今度は注意された側から、
「なぜ自分が疑われたのか」
という新しいトラブルになることがあります。
対応が早いことは重要ですが、
早いことと、確認せずに動くことは違います。
一方で、全てをゆっくり確認して良いわけでもありません。
例えば、
大量の漏水。
火災。
ガス臭。
停電。
断水。
エレベーター停止。
危険な外壁落下。
人身に関わる問題。
などは、まず安全確保が優先です。
原因調査より先に、
水を止める。
設備を停止する。
業者を呼ぶ。
危険箇所へ近づかないよう案内する。
といった対応が必要になることがあります。
トラブル対応では、
緊急対応が必要なものと、事実確認を優先するものを分ける
ことが重要です。
当社では、設備不具合などについては、提携するコールセンターで一次対応を行っています。
例えば、
水が出ない。
電気設備がおかしい。
エアコンが動かない。
鍵や設備に異常がある。
といった連絡です。
まずコールセンターで、
どのような症状なのか。
いつから発生しているのか。
入居者様側で確認できることはないか。
緊急性があるのか。
を確認してもらいます。
その報告を受けて、必要があれば当社提携の業者へ修繕や見積りの手配を行います。
このように、
全ての連絡を管理会社が一から受けるのではなく、一次対応を仕組み化し、その後の判断を管理会社が行う
という方法も有効です。
重要なのは、外部へ任せることそのものではありません。
コールセンターから上がってきた情報を見て、
誰を手配するのか。
オーナー様へ報告する必要があるのか。
すぐ工事を行うのか。
見積りを取るのか。
を管理会社が判断することです。
当社の管理物件でも、生活への影響がかなり大きい設備トラブルが発生したことがあります。
8月初旬、気温が40度を超える非常に暑い日に、朝8時過ぎから16時過ぎまでエレベーターが停止したことがありました。
高層階の入居者様にとっては、かなり不便な状況だったと思います。
それでも、当社へ強い苦情を申し入れる入居者様は一人もいませんでした。
また別の時には、給水系統のトラブルによって一時的に水が出なくなり、緊急対応を行ったこともあります。
当社が物件へ行った際、ちょうど入居者様が災害時の備蓄のようにペットボトルの水を何本も購入して部屋へ戻られるところに遭遇しました。
水が使えないのですから、生活への影響は明らかにあります。
それでも、その入居者様から詰め寄られたり、強く苦情を言われたりすることはありませんでした。
もちろん、
「苦情がなかったから問題がなかった」
という意味ではありません。
エレベーターが長時間停止することも、水が出ないことも重大な問題です。
早急に復旧させる必要があります。
また、苦情を言わない入居者様が不満を持っていないとも限りません。
ただ、このような経験をすると、
入居者様との関係は、トラブルが発生したその瞬間だけで決まるものではない
とも感じます。
普段から建物が適切に管理されている。
連絡すれば対応してもらえる。
何かあれば動いてくれる。
そうした積み重ねがあるかどうかで、万一の設備故障が起きた時の受け止め方にも違いが出るのではないかと思います。
設備が壊れた時だけ急に丁寧に対応する。
苦情が出た時だけ入居者様へ連絡する。
それでは十分ではありません。
日頃から、
共用部をきれいにする。
不具合があれば対応する。
必要な案内をする。
問い合わせには返答する。
トラブル時には途中経過を伝える。
こうした日常の管理が積み重なって、
「この管理会社なら何かあっても対応してくれるだろう」
という安心感につながります。
先ほどのエレベーターや給水の事例についても、苦情がなかった理由を一つに断定することはできません。
しかし少なくとも、
トラブル時の対応だけで入居者様との関係が決まるわけではない。
ということは感じます。
平常時の管理そのものが、将来のトラブル対応の土台になる
ということです。
管理会社はオーナー様へ報告する必要があります。
しかし当社では、
何でもすぐにオーナー様へ報告すれば良いとは考えていません。
例えば、
「入居者様から○○という苦情がありました」
と、解決策も何もない状態で連絡する。
オーナー様からすれば、
「それでどうすればいいのか」
と不安になるだけです。
もちろん重大事故や高額な費用が掛かる問題、オーナー様の判断が必要な案件は早急に報告する必要があります。
しかし、
管理会社の裁量で十分対応できる。
費用もほとんど掛からない。
オーナー様に判断していただく事項がない。
という内容まで逐一リアルタイムで報告すると、かえってオーナー様へ余計な心配を掛けることがあります。
例えば、
軽微な注意文を掲示する。
入居者様へ使用方法を説明する。
業者へ現地確認を依頼する。
共用部の小さな問題を是正する。
といった内容であれば、管理会社の裁量で先に対応できる場合があります。
このような時には、
「こういう問題がありましたが、このように対応して現在は収まっています」
と事後報告する。
これも管理会社の役割だと思います。
オーナー様は管理会社へ管理料を支払い、日常管理を委託しています。
それにもかかわらず、何か起きる度に、
「どうしますか?」
と全て判断を求めるのであれば、管理会社へ任せる意味が薄くなります。
当社では、
管理会社が判断できる範囲は管理会社で判断し、オーナー様には必要なことを必要なタイミングで報告する
というバランスが重要だと考えています。
一方で、
漏水が広がっている。
事故が発生した。
高額な修繕が必要になる可能性がある。
複数の入居者様へ影響が出ている。
といった場合には、全て判明するまで待つべきではありません。
当社では、
まず分かっている範囲で一次報告する
ことが重要だと考えています。
例えば、
「本日○時頃、○号室から漏水の連絡がありました。現在業者へ確認を依頼しています。原因は未確定ですが、下階への影響も確認中です。詳細が分かり次第、改めてご報告します。」
という形です。
これであれば、
何が起きたのか。
今何をしているのか。
今後どうするのか。
が分かります。
つまり、
報告し過ぎないことと、重大なことを報告しないことは全く別です。
当社では、
単に、
「トラブルがありました」
と報告するだけでは十分ではないと考えています。
例えば、
「無断駐車があります。どうしますか?」
ではなく、
「○番区画に無断駐車と思われる車両があります。車両情報を記録し、まず注意文を掲示します。繰り返す場合には入居者様や来客との関係を確認した上で個別対応するのが良いと考えています。」
というところまで整理する。
オーナー様に、
「どうしたらいいですか」
と丸投げするのではなく、
報告+対策案+管理会社としての見解
まで提示する。
それによって、オーナー様も判断しやすくなります。
入居者トラブルの中でも、騒音問題は非常に難しいものです。
音の感じ方には個人差があります。
建物の構造によっても伝わり方が違います。
生活時間も人によって違います。
上階の足音。
扉を閉める音。
子供の声。
テレビ。
話し声。
これら全てを完全になくすことは現実的ではありません。
そのため当社では、
騒音そのものを完全に解決しようとするより、入居者様の不満をどう受け止め、どこを着地点にするのかを見ること
が重要だと考えています。
もちろん、明らかな迷惑行為であれば注意が必要です。
しかし通常の生活音に近いものまで完全にゼロにすることはできません。
その時に、
「それは生活音なので仕方ありません」
とだけ答えれば、入居者様は、
「何もしてくれなかった」
と感じます。
まず話を聞く。
状況を確認する。
必要であれば注意する。
経過を見る。
それだけでも、入居者様の受け止め方は変わります。
言い方は少し俗になりますが、騒音問題では、
入居者様のガス抜きをしていく
という視点も必要だと思います。
何度も不満を伝えているのに、
管理会社から、
「証拠がないので対応できません」
「生活音だから我慢してください」
とだけ言われれば、不満は積み重なります。
逆に、
「それはお困りですね」
「これまで何時頃に多いですか」
「こちらでも状況を確認します」
「一度全体へ注意喚起します」
と話を聞くだけでも違います。
解決できない問題だからこそ、
入居者様に「自分の話を聞いてもらえている」と感じていただくこと
が重要です。
管理会社は裁判官ではありません。
全ての問題について白黒を付けることが仕事ではありません。
建物内で大きな対立へ発展しないよう、間に入って調整することも重要な役割です。
中には、苦情を言う入居者様に対して、
強い口調で言い返す。
高圧的な態度を取る。
「これ以上言うなら退去してください」
というような形で、クレームを抑え込もうとする担当者もいます。
しかし当社では、こうした対応は適切ではないと考えています。
その場では入居者様が黙るかもしれません。
しかし、
不満が解消されたのではなく、表に出なくなっただけ
という可能性があります。
押さえ込んだ不満が、
次の設備故障。
退去時。
別のトラブル。
口コミ。
オーナー様への直接連絡。
など、思わぬところで大きく表面化することもあります。
管理会社が目指すべきなのは、
入居者様を言い負かすことではありません。
問題を大きくしない着地点を探すこと
だと思います。
騒音やゴミ問題では、全戸へ注意文を配布することがあります。
誰が原因か分からない場合には有効です。
一方で、原因が明確なのに毎回全戸へ案内するだけでは、根本的な解決にならないこともあります。
反対に、証拠もない状態で特定の入居者様へ強く注意するのも問題です。
そのため、
全体案内。
個別連絡。
掲示。
現地確認。
経過観察。
を状況によって使い分けます。
注意文を出したこと自体を「解決」と考えないこと
が重要です。
無断駐車についても、
「知らない車だからすぐ違反車」
と判断できないことがあります。
例えば、
別の入居者様の来客。
店舗利用者。
業者。
一時的な送迎。
などの場合があります。
そのため、
車種。
ナンバー。
駐車場所。
時間。
繰り返し状況。
を記録し、関係を確認します。
一方で、繰り返される無断駐車を放置すれば、真面目に契約している入居者様が不満を持ちます。
共用部のルールは、
守っている人が損をしない状態をつくる
ことが重要です。
ゴミが散乱していれば、清掃すれば一旦はきれいになります。
しかし、
分別されていない。
曜日が守られていない。
粗大ゴミが繰り返し出される。
という問題であれば、清掃だけでは根本解決しません。
必要に応じて、
掲示。
個別案内。
ルールの再周知。
現地確認。
を行います。
管理会社の仕事は、
散らかった後に掃除することだけではなく、散らかりにくい運用をつくること
でもあります。
これはトラブル対応にも共通する考え方ですが、当社では清掃担当者へも基本的には細かな指示を出し過ぎないようにしています。
現地を実際に見ている人が、
「今日はここが汚れている」
「ここを少し拭いた方が良い」
と判断できる余地を残しておくためです。
例えば、元々の契約上は掃き清掃が基本であっても、現地にはモップなどの清掃道具があります。
そのため、清掃担当者が自主的に、
「今日はここも拭いておこう」
と拭き掃除までしてくれることがあります。
もちろん、どこまでやるのかという基本的な業務範囲は必要です。
しかし、
何から何まで本部や管理会社が指示しなければ動けない状態が良い管理とは限りません。
現場の担当者にも適切な裁量を持ってもらう。
管理会社もオーナー様から一定の裁量を持たせてもらう。
その方が、日々の細かな問題には迅速に対応しやすくなります。
時々、入居者様から管理会社を通さず、オーナー様へ直接連絡が入ることがあります。
もちろん内容によっては、オーナー様へ直接伝えたい事情があることもあると思います。
しかし管理会社が入っているにもかかわらず、
「管理会社へ言っても駄目だから大家さんへ言えばいい」
「大家さんへ直接言えば自分の希望が通る」
という状態になってしまうと、今後の管理運営が難しくなります。
例えば、管理会社が契約やルールに基づいて、
「これは対応できません」
と説明した後に、オーナー様へ直接連絡し、
「それならいいですよ」
となれば、次回から入居者様は管理会社を飛ばすようになります。
結果として、
管理会社がルールを運用できなくなる
ことがあります。
そのため当社では、
オーナー様と管理会社が基本的に同じ方向を向いていること
が非常に重要だと考えています。
管理会社の判断が絶対という意味ではありません。
管理会社が間違っていれば、当然見直す必要があります。
しかし普段から、
何が起きたのか。
どのように対応したのか。
なぜそう判断したのか。
をオーナー様へ適切に報告していれば、
入居者様から突然別の話が入っても、
「管理会社からはこう聞いています」
と冷静に確認していただけます。
オーナー様と管理会社との情報共有ができていること自体が、トラブル防止になります。
以前、当社でも、管理上のやり取りについて当社の認識とは異なる内容に置き換えられ、知人の不動産業者を勧める趣旨を含む手紙がオーナー様へ送られたことがありました。
その真意までは分かりません。
当社管理を外して別の不動産業者へつなげる意図があったのか、それとも単に当社への不満を伝えたかったのかは断定できません。
ただ、当社としては日頃からオーナー様へ経緯を報告していたため、
「初めて聞いた話」
にはなりませんでした。
結果として、大きな問題には発展しませんでした。
この経験からも、
トラブルが起きた時だけオーナー様へ説明するのではなく、必要なことを日頃から共有しておくこと
が重要だと感じています。
オーナー様と管理会社の間に信頼関係があれば、第三者から一方的な話が入った場合でも、事実関係を確認しながら冷静に判断できます。
入居者様からオーナー様へ直接連絡が入った場合、内容によっては当然対応が必要です。
しかし、
「管理会社では断られたけれど、大家さんへ直接言ったら通った」
という成功体験が繰り返されると、管理体制が崩れます。
そのため、
まず管理会社へ内容を確認する。
管理会社とオーナー様で認識を合わせる。
その上で回答する。
という流れを作っておくことが重要です。
オーナー様にも、
管理を任せる以上、基本的には管理会社を窓口として運用する
という姿勢で協力していただく必要があります。
良い管理会社と良いオーナー様は、対立する関係ではありません。
建物を安定して運営するためのパートナーだと思います。
管理会社によっては、
入居者様から来たメールやLINEを、そのままオーナー様へ転送して、
「このように言っています。どうしますか?」
という対応になることがあります。
もちろん、原文を確認していただく必要があるケースもあります。
しかし毎回それだけでは、管理会社が間に入っている意味が薄くなります。
管理会社として、
事実は何か。
どこまで確認できているか。
入居者様の本当の要求は何か。
対応の選択肢は何か。
費用はいくらか。
どの方法を推奨するか。
を整理する。
当社では、
情報をそのまま横流しするのではなく、判断できる形に整理すること
が重要だと考えています。
例えば入居者様から、
「エアコンが壊れました」
と連絡があった時に、
「修理しますか?交換しますか?」
とだけオーナー様へ聞いても判断しづらいと思います。
使用年数。
故障内容。
修理費。
交換費。
部品供給。
入居者様への影響。
を確認した上で、
「年数と修理費を考えると今回は交換をお勧めします」
というところまで伝える。
これが管理会社の役割だと思います。
トラブル時ほど、
オーナー様が判断するべきことと、管理会社が判断するべきことを分ける
必要があります。
トラブル対応では、
修理が完了すれば良い
というものでもありません。
例えば設備故障で、
部品待ち。
業者手配待ち。
原因調査中。
となることがあります。
この間、何の連絡もなければ、
「放置されている」
と感じられることがあります。
たとえ解決していなくても、
「現在ここまで進んでいます」
「○日に業者が確認します」
「部品納品後に修理予定です」
と説明する。
進捗が分かるだけでも入居者様の不満は変わります。
設備故障などでは、復旧だけでなく、
なぜ起きたのか。
何をしたのか。
今後どうするのか。
まで説明できると、入居者様の受け止め方は変わります。
例えばエレベーター停止であれば、
「復旧しました」
だけではなく、
原因。
実施した対応。
今後の点検や対策。
まで可能な範囲で説明する。
当社では、
トラブルが起きたことそのものより、起きた後に誠実に説明すること
が入居者様との信頼関係では重要だと考えています。
設備は古くなれば故障します。
台風で雨漏りすることもあります。
入居者様同士で問題が起きることもあります。
全てが管理会社の責任というわけではありません。
しかし、
「当社の責任ではありません」
と言うだけでは、入居者様にとっては何も解決しません。
責任の所在と、
管理会社として何をするか
は別の問題です。
自社の過失ではなくても、
業者を手配する。
状況を確認する。
オーナー様へ必要な報告をする。
入居者様へ説明する。
必要な調整を行う。
という役割があります。
一方で、管理会社の対応に問題があった場合には、無理に正当化する必要もありません。
連絡が遅れた。
業者手配が不十分だった。
説明が足りなかった。
確認不足だった。
ということがあれば、必要な謝罪を行い、改善する。
重要なのは、
問題が起きない会社を装うことではなく、問題があった時に改善できる会社であること
だと思います。
入居者様の話をよく聞くことは大切です。
しかし、
入居者様の要求を全て受け入れること
とは違います。
例えば、
通常の生活音まで完全に止めてほしい。
自分だけ特別な駐車区画を使わせてほしい。
設備を新品へ交換してほしい。
家賃を自分の判断で減額したい。
といった要求が、そのまま認められるとは限りません。
管理会社は、
契約内容。
事実関係。
他の入居者様との公平性。
オーナー様の負担。
を踏まえて判断する必要があります。
良い管理会社は、
言われたことを全部やる会社でも、全て断る会社でもありません。
必要なことと必要でないことを整理し、説明できる会社だと思います。
騒音や駐車場などの問題で、
「直接本人同士で話してください」
とすれば、管理会社は楽かもしれません。
しかし感情が高ぶっている場合、直接話すことで問題が大きくなることがあります。
賃貸管理では、
管理会社が間に入り、
情報を整理する。
双方の言い分を聞く。
必要な注意を行う。
という役割があります。
できる限り、
入居者同士が直接対立しなくても解決できる形
を考える方が良いと思います。
トラブル対応では、記録も重要です。
いつ連絡があったのか。
誰からだったのか。
どのような内容だったのか。
何を確認したのか。
誰へ連絡したのか。
どのような対応をしたのか。
を残しておく。
一度で解決すれば良いですが、数か月後に再発することもあります。
その際に、
「以前どのような話だったか」
を確認できれば対応しやすくなります。
また、オーナー様へ経緯を説明する際にも役立ちます。
記録を残すこともトラブル対応の一部
です。
同じ問題が何度も起きる場合には、
その都度注意するだけでは足りません。
例えば、
無断駐車が繰り返される。
ゴミ出し違反が続く。
共用部への私物放置が多い。
という場合には、
契約書。
特約。
掲示。
使用細則。
駐車場配置。
清掃方法。
防犯カメラ。
などを見直す必要があるかもしれません。
当社では、
一度起きたトラブルを、その案件だけで終わらせず次の予防へつなげる
ことが重要だと考えています。
例えば、
「このルールは契約書に書いてなかった」
という問題があったのであれば、
次の新規契約から特約へ入れる。
「この設備は残置物かどうかで揉めた」
のであれば、
次回から設備表で明確にする。
「駐車場の来客利用が曖昧だった」
のであれば、
駐車場規則を見直す。
このように、
管理現場で起きた問題を契約内容へ反映していく
ことが重要です。
契約書も管理業務も、一度作って終わりではありません。
共同住宅では、入居者様それぞれに生活があります。
静かに暮らしたい方。
子育て中の方。
夜勤の方。
高齢の方。
車を頻繁に使う方。
共用部の使い方に敏感な方。
様々です。
つまり、
戸数分だけ意向がある
と言っても良いと思います。
一人の希望だけを優先すれば、別の方に不満が出ることがあります。
そのため管理会社は、
「この入居者様の要求を全て叶える」
ことを目的にするのではなく、
他の入居者様。
契約内容。
建物全体。
オーナー様の負担。
を含めて考える必要があります。
トラブル対応で最優先されるのは、
誰か一人を100%満足させることより、建物全体のバランスを崩さないこと
だと思います。
入居者様の話を聞かなければ、管理会社への不信につながります。
一方で、全ての要求を受ければオーナー様の負担が増えます。
オーナー様へ何も報告しなければ不信感につながります。
一方で、細かな問題まで全てリアルタイムで伝えれば、不安だけを増やすことがあります。
管理会社が全て判断すれば独断的になります。
一方で、何でもオーナー様へ聞けば管理会社の意味がありません。
現場担当へ細かく指示し過ぎれば、自主的に動けなくなります。
一方で、全て任せきりでも管理品質は保てません。
騒音を完全に解決しようとし過ぎれば、対立を深めることがあります。
一方で、何もしなければ不満が積み上がります。
結局、
賃貸管理におけるトラブル対応は、全てバランス感覚が重要
だと思います。
賃貸物件では、どれだけ丁寧に管理していてもトラブルは起きます。
そして、全てのトラブルに明確な正解があるわけでもありません。
特に騒音や人間関係の問題は、
「これをすれば完全解決」
という方法がないこともあります。
また、エレベーター停止や断水のように、生活への影響が大きい設備トラブルもあります。
それでも、必ずしも全てが大きなクレームになるわけではありません。
当社が経験したように、猛暑日に長時間エレベーターが停止しても誰一人として強い苦情を申し入れなかったこともあります。
給水トラブルの際、入居者様が大量のペットボトルを購入して対応されている状況を目の当たりにしても、管理会社へ詰め寄られることはありませんでした。
もちろん、それに甘えてはいけません。
苦情がないから対応を遅らせて良いわけでもありません。
むしろ、
苦情を言われなくても困っている人はいる
という前提で、できるだけ早く復旧させる必要があります。
ただ、その一方で、
普段からどのような管理をしているか、何かあった時にどう対応しているかという積み重ねが、トラブル発生時の入居者様の受け止め方にも影響するのではないか
と当社では感じています。
だからこそ、
トラブルが起きてから慌てて信頼を得ようとするのではなく、
平常時から建物をきちんと管理する。
問い合わせに対応する。
共用部を整える。
必要な修繕を行う。
約束したことを実行する。
こうした基本の積み重ねが大切です。
その上でトラブルが起きた時には、
話を聞く。
真意を考える。
緊急性を判断する。
事実を確認する。
必要なら現地を見る。
専門業者へつなぐ。
管理会社の裁量で対応する。
オーナー様へ必要なタイミングで報告する。
対策案と見解を伝える。
入居者様の不満を必要以上に溜めない。
そして建物全体のバランスを見る。
当社では設備トラブルについて、提携コールセンターで一次対応を行い、その内容を踏まえて必要な業者手配やオーナー様への報告を行っています。
清掃についても、担当者へ何から何まで細かな指示を出すのではなく、一定の裁量を持って現場を見てもらっています。
管理会社自身も同じです。
オーナー様から任せていただいている以上、
管理会社で判断できることは管理会社で判断する。
オーナー様の判断が必要なことは、判断材料を整理した上で相談する。
重大なことは早く報告する。
軽微なことは対応後に報告する。
これも管理の一つだと思います。
また、入居者様からオーナー様へ直接連絡が入った場合にも、管理会社とオーナー様が普段から情報を共有し、同じ方向を向いていれば大きな問題にはなりにくくなります。
管理会社を飛ばせば自分の希望が通る。
大きな声を出せば要求が通る。
という運用にしてしまえば、長期的には建物全体の管理が難しくなります。
だからこそ、
オーナー様・管理会社・入居者様の間で適切な距離と役割分担をつくること
も重要です。
良い管理会社とは、
トラブルを全てなくす会社でも、
全ての入居者様を満足させる会社でもありません。
問題が起きた時に、その人だけを見るのではなく、オーナー様、他の入居者様、建物全体、費用、契約、今後の運営まで含めて、一番妥当な着地点を探せる会社。
そして、
トラブルが起きた時だけではなく、普段の管理によって「何かあっても対応してもらえる」という信頼を積み重ねられる会社。
当社では、それが賃貸管理におけるトラブル対応の本質だと考えています。